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村上春樹のおすすめ小説はどれ?本好きの私がランキングで紹介します

村上春樹

画像引用:MITSU-FUKUTA.BLOG より

村上春樹さんは国内のみならず、世界的にも人気の小説家です。

村上春樹小説を好きな理由は様々ですが、

  • 易しい文章と難解な物語
  • ファンタジーと現実世界を融合した世界観
  • 癖になるユニークな比喩表現
  • 独特の物語テンポ
  • 美味しそうな食べ物・飲み物
  • 読後の不思議な余韻

などなど、日本国内はもちろん海外でも非常に影響力が強く「ハルキスト」という根強いファン層が世界中にたくさんいます。

かくいう私も村上春樹小説が好きです。

ハルキストと自負するまではいかないのですが、まぁまぁ主要な小説は一通り読んでいますし、愛読で何度も読み返す書籍もあります。

これを機会に私がおすすめしたい村上春樹小説のランキングをご紹介させてください。

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村上春樹小説のおすすめランキング

今まで私が読んだ村上春樹作品の中から、おすすめしたい5冊をご紹介します。作中にある頭に残った一文も添えておきます。

第5位 海辺のカフカ

主人公の「田村カフカ」少年が家出するところから物語は始まります。
家出先の四国で出会う人々と不意に起こる出来事。彼は「世界でもっともタフな15歳」にならなくてはいけない。
一方、カフカ少年の話と並行して進む、戦時中にあった「集団失神事件」をきっかけに始まる「猫と話せるナカタさん」の不思議な旅。

物語はそれぞれに進みますが、ところどころに相関を感じさせ、いつの間にか観念的な領域を超えてつながりを帯び始めます。

時刻は4時35分だった。火曜日の午後4時35分。この時刻を記憶しなくてはならない、と彼は思った。この午後を、この日をいつまでも記憶しなくてはならない。

引用:[書籍]海辺のカフカ 村上春樹 著 より

村上春樹的に言えば、「世界がパチンと切り替わる」瞬間を象徴する一節。大事なシーンの一文なので是非気にして読んでみてください。

物語に出てくる人々は、神でも仏でもない、世界を成立させ、動き続ける何かに対し、それぞれ動かされています。五感の外にある気配(霊とかじゃなく)に対して自分なりに耳をすませると、小説の魅力を一層感じられますよ。

作品中に出てくる「猫と話せるナカタさん」や「ジョニーウォーカー」、「カーネルサンダース」「ホシノさん」など、印象に残るキャラクターが多いのもこの作品。

実は、村上春樹らしい物語展開やファンタジックでポップな世界観の演出もあり、暴力・戦争などの村上春樹が真摯に考えているテーマもあり、魅力がたっぷり詰まった小説。

しかも「読み手が物語をさまざまに解釈できる」ような平易な言葉遣いの特長も出ていて、国内・海外とも評価が高いです。

人によってはこれが1位です。村上春樹作品らしさを存分に楽しめる小説です。

第4位 トニー滝谷

これは「レキシントンの幽霊」という短編シリーズの中にある物語なのですが、非常に魅力のある小説なのでランキングで紹介します。

トニー滝谷の本当の名前は、本当にトニー滝谷だった。

引用:[書籍]レキシントンの幽霊 (文春文庫) 村上春樹 著 「トニー滝谷」より

この書き出しで急に興味をひかれる物語。

戦後に生まれ、ジャズ演奏者の父に「トニー」という外国風の名前をつけられた少年。芸大を出てイラストレーターとして生きるトニーは、他の美術者のいう思想的な美が理解できない。そんなトニーの前に、まるで服を着るために生まれてきたような美しい女性が現れ..。

彼女はまるで遠い世界へ飛び立つ鳥が特別な風を身にまとうように、とても自然にとても優美に服をまとっていた。

引用:[書籍]レキシントンの幽霊 (文春文庫) 村上春樹 著 「トニー滝谷」より

トニー滝谷という人間が生きる変化のなかで描かれる揺らぎ、そこに垣間見える、柔らかくも、もの哀しい何か。本当の孤独とは」その一側面を短編の中に見ることができる貴重な小説です。

ちなみに映画化もされており、人によっては宮沢りえ・イッセー尾形が出演した映画の方が有名かもしれません。一般的にはそっちのイメージの方が強いのかも?

横移動を中心とした映像展開が美しく、「トニー滝谷」は、ぜひ映画も合わせて観ていただきたい作品です。

第3位 風の歌を聴け

村上春樹デビュー作。

大学の休みに長く地元の町へ帰ってきた「ぼく」が、町にとどまり続ける友人「ねずみ」と、閉塞された怠惰な時間を過ごす夏。
変わることのない町、ジェイズバー、ビール、床いっぱいのピーナッツの殻、4本指の女の子、「カリフォルニアガール」のLPレコード。あらゆるものは通り過ぎていく。

黄昏のような青春の終わりを迎える枯れた感性、それを描くポップで哲学的な村上春樹らしい文体が、デビュー作にして鮮烈な印象を与えてくれます。

あらゆるものは通り過ぎる。誰にもそれを捉えることはできない。
僕たちはそんな風にして生きている。

引用:[書籍]風の歌を聴け (講談社文庫) 村上春樹 著 より

ハードボイルドで退廃的な「名言」があちこちに見られるのもこの小説の良いところ。思わずどこかで真似をしたくなる名言も合わせて楽しめます。

実はこれ、後々に出される「1973年のピンボール」「羊をめぐる冒険」「ダンス・ダンス・ダンス
」の3作品と関わり合いのある1作なのです。

というわけで、これを読むと関連して3作を楽しめます

第2位 1Q84

2009年に出された長編小説。
上下巻3部構成で、文庫だと6冊にもなる長編小説です。

「青豆」というちょっぴり特徴のある名前の女性が主人公。

スポーツインストラクターの青豆は、1984年4月、今まで生きていた現実と何も変わらないように見えて、ほんの少し何かが違う、そんな世界に足を踏み入れてしまいます。彼女は、「1Q84」と名付けた、その世界から何とか脱却を図ります。

一方、青豆と10代の頃に手を握り合い、相思相愛のまま離れてしまい、一人生きている「天吾」という男性も、同じ違和感のある1Q84の世界に入り込みます。
二人は無事1Q84を抜け出し、再び元の世界を生きることができるのか。

希望のあるところには必ず試練がある。あんたの言うとおりだよ。
そいつは確かだ。ただし希望は数が少なく、おおかた抽象的だが、試練はいやというほどあって、おおかた具体的だ。

引用:[書籍]1Q84 村上春樹 著

個人的には、村上春樹小説の中でもサスペンスカラーが強いストーリーで読みやすいと感じた小説です(長いですけどね)。「1Q84から抜け出す」なんていう明快なテーマがあるのも読みやすさの一つ要因なのでしょう。

とはいえ、「空気さなぎ」という不思議な体験とリトルピープルの存在、「さきがけ」という宗教団体など、今まで村上春樹が取り組んできた活動が、1Q84の物語で生き生きと反映されていて、思索的な意味でも楽しめる小説です。

第1位 世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド

栄えある第一位は、「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」です。

上下巻に分かれる長編小説です。海辺のカフカ、そして1Q84にも通じる「2つの物語世界が交信し、倒錯ともいえる展開を見せ帰結する」表現がなされた物語。

「計算士」として暗号の解読を行う特殊な仕事をする男性の主人公の物語と、「世界の終わり」と呼ばれる場所で静かに自らの行き方を得ていく男性の物語。

軽快なサスペンスにも思える物語と、一種独特、ファンタジックな閉じた世界観の物語が同時並走し、次第にひとつの紐のように紡がれていく様子は、読んでいると自らが小説世界に吸い込まれていくような錯覚さえ起こすほどの存在感。

読み終わりは、自分の頭の中に世界がひとつ増えたような不思議な気分になります。1985年に出版された小説ですが、村上春樹小説の真骨頂がギラリと描かれていて、私が最もおすすめしたい一冊となりました。

以上です。

他にも読んでほしい小説があります

映画化もされて有名な「ノルウェイの森」や、長編の名作である「ねじまき鳥クロニクル」を紹介しなかったのですが、こちらもメジャーどころ。押さえておくのをおすすめします。

ノルウェイの森は映画化もされて、村上春樹の描く恋愛物語(?)としては有名ですね。
ねじまき鳥クロニクルは、私は高校生の頃から、大学、社会人、フリーランスになってからと、人生の節目に何度も読み返しました。なぜかそういうときに目について読みたくなる本です。主人公が井戸にこもる描写がとても好きです。

思索に耽る?食事を美味しくする?

さて、村上春樹小説の魅力は様々ですが、私にとっての村上春樹小説の魅力をご紹介しておきます。

私の場合は主に2つ、「思索に耽る時」もしくは「食事(お酒)を美味しくする時」、小説が素晴らしいパートナーになるのです。

これがとても素晴らしいと思います。

思索に耽る

まぁ思索と言ったって、正直、「死とは何か..」みたいなことは考えていません。

むしろ反対で、小説の持つボキャブラリーと思考力に支えられて、多くは考えていないのに、深々と思想を紡いだような気分になれる、これがいいんですよ。

そうです、私は比較的、気の抜けたな人間です。
ま、まぁ、小説の読み方なんて人それぞれですからね笑

水割りとか片手に村上春樹小説は、なかなかいいです。同じやつを何度も読めます。ぜひお試しください。

食事(お酒)を美味しくする

村上春樹小説のなかには
「本なんてスパゲッティーを茹でる間に読むのがちょうどいいんだ」
といったセリフも出てきますが、村上春樹小説にはこれでもかというくらい美味しそうな食べ物がたくさん出てきます。

どれも印象に残るようなものばかりで、村上春樹小説に出てきた料理の再現レシピなんていうのもあるくらい。

小説の世界に感化されながら料理をしたり、食事をしたりするのも楽しいものです。
よく作るいつものメニューだって、とっても美味しく感じられます。

キーワードとしては、
「ビール」
「フライドポテト」
「スパゲッティ」
「ビーフカツレツ」
「カティーサーク」
「オイルサーディン」
「サンドイッチ」
「ドーナッツ」
「コーヒー」
などなど。

村上春樹が初めての方は

村上春樹小説を今まで読んだことがなく、「どれから読んでいいかわからないんだよねー…」なんて方には、こちら。

おすすめランキング第3位にもあった「風の歌を聴け」、私としてはこちらをお読みいただくのが良いかと思います。

「風の歌を聴け」は、1979年に群像新人文学賞を受賞した、村上春樹さんのデビュー作ですが、個人的には、風の歌を聴けに「村上春樹」という小説家のコンセプトが、スケッチのようにすべて描かれているように感じます。

ページ数も文庫で200ページいかないので、ボリューム的にも読みやすいです。
また、作家デビュー作にあるような青々しい文章は全くなく、デビュー作とは思えないほどの枯れていて、それでい独自の存在感がある鮮烈な文章表現には、思わず引き込まれてしまいます。

好き嫌いはあるとは思いますが

余談ですが、私、兄弟がおりまして、彼らは村上春樹小説はそんなに好きではないです。

抽象的な主題がかえって小説を盛り下げているように思えたり、物語テンポが一定で起承転結がわからず飽きてしまったり、ユニークな比喩表現が目について集中して読めないなど、まぁ好きじゃない方にも色々と理由はあるようです。

村上春樹小説は好き嫌いがかなり明確に分かれるそうですので、ご自身はどちらか一度試してみるといいかもしれませんね。

もし好きだと感じた方は、どっぷりハマってみるのもいいものですよ。

村上春樹の新作が発売されました!

2017年の2月24日に、村上春樹さんの新作長編小説「騎士団長殺し」が発売されました!

ミステリアスな物語と、意外な方向性を帯び始める文章展開に引き込まれます。

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