マイホームを建てる人におすすめの書籍「住まいの解剖図鑑」と「間取りの方程式」
今の時代、ウェブやSNSを駆使すれば、うっとりするような住宅イメージがたくさん見つかります。
マイホームを考える人は、そんな素晴らしい家のイメージを実現したいと思うのが普通でしょう。
一方で家は、長い時間「日常」の舞台となり機能する場所でもあります。
外部環境から住人を守り、生活動作を快適にし、家族それぞれの文化や価値観をうまく統合し…。
美しい家と同時に、ソフト面での家の心地良さも、良い住宅には必須の事項です。
こちらの2冊は、そういった本来の意味で心地よい家を実現するためのノウハウを、建築を専門にする方々が書いています。
キャッチコピーとイラストで、とっても理解しやすく、マイホームを考え始めた人にもおすすめなので、ご紹介します。
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住まいの解剖図鑑
その名前の通り「住まい」を解剖し、解説した本です。
住宅のそれぞれのセクションが、どのような理由のもとに成り立っているのか、住宅の素人でも興味がわく、イラストとテキストで、わかりやすく解説されています。
一見ありふれた住宅のカタチは”なぜ”そうなっているのか?
「住宅」には、ありふれた一般的な形式がたくさんあります。
キッチン
玄関
クローゼット
和室
リビング
…etc
マイホームを建てようと考えたとき、人はなるべく「自分らしいオリジナルなスタイルの家にしたい」と考えます。
普通であることは平凡。
ありふれている家はつまらない。
横並びの家は敬遠したい。
しかし、一方で、心地よい住まいには、「ありふれた家のカタチ」が多いことも事実。
なぜなら、よく見る家の構造は多くの先人たちに磨かれてきた定石でもあるからです。
書籍では、一見ありふれた住宅のカタチがなぜそうなっているのか。
私たちの住宅生活で起こる課題を、家の仕組みがどう解決しているのか。
「なるほど」と思う形で、理由や原則が描かれています。
冷蔵庫は八方美人?
書籍のユニークなポイントは、ひとつひとつの解説にキャッチーな見出しがあることです。
「冷蔵庫は八方美人」
気になりますよね。
「ベッドの配置を間違えるとダイビングするハメに」
ダイビング?どういうこと?
「空気はいつも迷っている」
空気って迷子なの?
住宅設計のこまかなことを知らない私たちでも、思わず、「どれどれ..」と解説に読み入ってしまうコピーたち。
これを読み進めて行くだけで、快適な住まいが持つ、仕組みとそのセオリーがなんとなく頭に入ってきてしまいます。
普通に隠された”秀逸さ”
書籍を読み進める中で気づくのは、家の”普通”に隠された、秀逸とも言える知恵の数々です。
例えば「水道」。
日本であれば、水道水を使わない人はほとんどいませんよね?
洗面所で、お風呂で、トイレで。
何気なくあちこちで使われる水が、どこからどうやってきて、家の中をどのように回り、そしてどうやって処理されているか、自分の家の詳細を知っている人は、あまりいないのではないでしょうか。
2階にトイレを設置できる理由は?
お湯がスイッチひとつで誕生するわけは?
そこには見事な技術が介在しており、実現のための「制約」も同時に存在しています。
ひとつひとつの仕組みを知ることはとても大切です。
書籍を読むことで、「心地よい家」の原則を知ったユーザーとして、家の課題に向き合えるようになるように思えます。
間取りの方程式
解剖図鑑の次は方程式です。
どちらも似たようなもの?
いえいえ、違いますよ。
先ほどの本が住まいの原理を知るものだとすれば、こちらは「間取り」についての「方法論」に言及したものです。
心地よい家の間取りには”定番の方程式”がある
心地よく、魅力的な住宅。
家を建てたい誰もが望むものです。
そういった魅力のある住宅を実現するには、難解な設計や、センスにゆだねられたひらめきが必要そうです。
しかし、この本を読めば安心。
実は定番の間取りの法則を実践することで魅力的な心地の良い住宅が実現できるのです。
快適さは、ちょっとしたセオリーを守ることから生まれる
よほど特殊な事情がない限り、住まいの心地よさや快適さはちょっとしたセオリーを守ることよって実現されます。
実際、住まいの快適さは細やかな調整によって実現されるもの。
- 敷地の調整
- 建物位置
- 駐車場の配置
- 階の検討
- 動線の設計
- 採光の仕方
- 光熱器具
- 各部屋のあり方
相当数ある条件の中で、バランスを取りながら快適な家は設計されており、ちょっとしたことでも、定番を守ることで住宅がグンと快適になります。
書籍では、「こうやってみるといいんじゃない?」といった具合で、具体的な間取り設計の方法論が紹介されています。
水回りはこうやって配置してみるといいんじゃない?
開放感はこうやると出るんじゃない?
ホッとできる空間はこうするといいんじゃない?
外の景色を楽しめる窓はこうすればいいんじゃない?
実際的な方法論として、間取りの方程式たちが説明されています。
こちらの書籍も、イラストとキャッチコピーで描かれており、素人でも興味深く読めるのでありがたいです。
“定番のセオリー”を守った家が、こんなにも美しいとは
定番、定番と繰り返すと、なんだか「平凡な格好悪い家」を建てる本みたいなイメージを持ってしまうものです。
しかし、書籍を読むとびっくり。
「定番 = 美しい」
なんですね。
書籍内に出てくる住宅は開放的で、とてもセンスがよく、住み心地もとっても良さそうな家ばかり。
内装の写真を見ても、これが”定番“を守ったものなの? と思ってしまうような素敵な物が多いです。
よくよく考えると、住宅はもう何百年も昔から人類が進化させてきた分野。
「定番のセオリー」は、研ぎ澄まされた、とても美しい方程式によって成り立っているのです。
良いことを知りました。
家を買いたい側の人間が、意外と知らないこと
私たち「家を買いたい側の人間」は、色々な要望を持っている一方で、意外と心地よい家とはどういうものか知らないものです。
どれくらいの間取りが心地よいのか、どういった位置関係が心地よいのか、どんな物があれば心地よいのが、何がなくても平気なのか。
家に住む主人公である私たちが、心地よい家を知らず「盲目」であれば、それを建てる側の人々も、核心部分が盲目のまま家を建てることになりかねません。
これからマイホームを考えているという人がこの2冊を読めば、家を「外見」や「イメージ」だけでなく、「住む人本位の快適さ」からも、建築事務所やハウスメーカーにリクエストできるようになるでしょう。
とても勉強になる知識が得られる本です。
小さなマイホーム、建てました
2020年に待望の小さな家を手に入れた私たち。
約5年にわたって土地探しから設計、施工と準備し、実際に経験を積みあげながら得た「小さな家づくりノウハウ」を、読みやすくnoteにまとめました。
有料noteは一度、ご購入いただくと、家を建てたあとのことについて継続的に記事が追加投稿されて読むことができます。
小さめのお家づくりにご関心のあるかた、情報収集中のかた、よろしければご覧ください。