へこたれない強いチーム・組織を作るには? リーダーは最後尾のペースに合わせよう
みんなで何か始めると、最初は全員が楽しいのだけれど、だんだん雰囲気が変わってきて、なんとなく続かなくなる。
ビジネスプロジェクトや会社組織、サークルや、趣味の集まりでも、こういうことがよく起こります。
そんなときはグループの長径が伸びていないか様子を見るといいです。
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組織の疲労は長径に現れる
グループの長径が伸びるとは、どういうことでしょうか。
マラソンの走者グループを思い浮かべるとイメージしやすいそうです。
最初は小さくまとまっていた集団が、距離を走るにつれ長く伸びていきます。これを「長径が伸びる」と言います。
組織で何か目的に向かって行動しているとき、それぞれ個人のペースがあるので、「先頭に立って引っ張る人」・「中間で先頭についていく人」・「最後尾で追いかける人」、など、同じグループでも、色々な立場の人が存在します。
一般的には、組織は、1倍モードの気力十分なグループ(約70%)と、少し遅れ気味の2倍モードグループ(20%)、気力が低下している3倍モードのグループ(10%)で構成されている。1倍モードが多いので、全体的は戦力が緊縮している。つまり長径は短く保たれている。
引用:自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術 P.232 より一部抜粋
1倍モード・2倍モード・3倍モードについては、以前、ご紹介した記事が役立つかと思います。
あなたは今、何倍モード?ムリの進行「1倍モード、2倍モード、3倍モード」という考えかた | くらのら
組織が疲れてくると、マラソンと同じように組織の長径が伸びていきます。気力十分なグループの人数が減り、遅れ気味の人、気力が低下している人の割合が増します。気力十分な人々がハイペースをやめ、ペースを普通に戻しても、疲れ切った人々はもはやついてこれません。
組織内に思わぬハプニングが発生したり、組織の雰囲気が悪くなり、チームパフォーマンスが落ちていきます。
長径が伸びたときは最後尾に合わせる
それでは、長径が伸びたときはどうすればいいか?
答えはシンプル、「最後尾に合わせる」のが大切です。ペースを普通に緩めるのではなく、「最も疲れている人のペース」にします。しかしながら、何か活動をしている時、適切に最後尾に合わせる判断はなかなか難しいものです。
もしあなたが、ボーイスカウトのリーダーで、山登りをしている時、グループの長径が伸びたらどうするだろうか。
当然、先頭にストップをかけ、最後尾を追いつかせるだろう。この時、やりがちなのが、最後尾が追いついたら、すぐスタートしてしまう事だ。先頭の元気な人は、十分休んでいるので、また勢いよく歩き始める。ところが最後尾の人は、ようやく追いついたばかり。ほとんど休憩もなく、歩きはじめることになる。すぐにまた、長径が開いてしまうだろう。
引用:自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術 P.234 より一部抜粋
特にリーダーのような全体を見る人は、常に「先頭グループ」にいる場合が多く、最後尾の状況を把握しにくいので、一見、簡単な配慮を損ねてしまったりもします。
長径が伸びた時は、リーダーは「遅すぎる」ぐらいのペースにしないと、全体の行動をコントロールしにくい事を覚えておいてほしい。
引用:自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術 P.234 より一部抜粋
ちなみに本書によると、こういう時に一番いいのは、しっかりと「大休止(休憩)」を入れることだそうです。最後尾も追いつき、全体が休憩できれば、再び長径が短くなり、チームとして頑張れるようになります。
「最後尾のペース」に合わせるチームはレベルが高い
記事を読むと「最後尾のペース」に合わせるだけなので、簡単そうですよね。しかし、今の時代、これは本当に難しく、レベルの高いことだと感じます。
ビジネスチームで競争に勝っていきたかったり、何か明確な目標があり、一丸となって取組んでいたり、そういった組織は、「ペースダウン」への極端な不安や恐怖を持ちやすいからです。(ペースダウンしている間に、他のチーム・組織は…と、焦ってしまう。)
とはいえ、チームの長径が伸び、バラバラな組織になるよりは、一旦、休止させて組織を回復させた方が結果的に効率は良いそうです。
リーダーの「舵きり判断のタイミングを増やしていく」と、最後尾を回復させつつも、先頭のスピードダウンを防いでいけるそうです。急いでいるリーダーは視野を後ろにも向け、チームメンバーも最後尾のペースを知らせるなど、工夫して対処していきたいですね。
この記事は、みなみのひげが参考図書を読んでまとめた情報や、考えついた意見を記載しております。みなみのひげはメンタルヘルスの専門家ではありませんので、実際に精神的な違和感・疲労をケアしたい場合は、こちらの情報に偏らず専門家へ受診を行ってください
今回の参考図書
疲弊しないでパフォーマンスを上げていくことを学ぶのに、非常に役立った一冊です。全体を通して実践できる内容が多いので、ぜひ、読んでみてください。