反省ばかりが増えてない?良い目標には「7〜3バランス」が必要
頑張っても頑張っても充足感を得られない。
周りはこんなに成果を出しているのに、自分はいつも満足な成果を出せない。
課題がいくつもあって、乗り越えても乗り越えても課題だらけ。
自分の頑張りが足りないんだ、辛い、でも歯を食いしばるんだ!
…でも辛い。
そんな状況になったことありませんか?
そういう時、人は往々にして目標設定を間違えています。
今回は、自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術に掲載されていた「7〜3バランス」を元に、自分の成果をきちんと出していくための目標設定を考えてみたいと思います。
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目標は”意識と無意識のバランス”をとる
人間には「意識」と「無意識」がそれぞれ備わっています。
「意識」は自分の理性でコントロールできる思考のこと。理屈や、思考などがそうです。
一方、「無意識」は感情・身体など自分でコントロールしていないですが、自分として機能しているものです。
自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術では「意識」と「無意識」について以下のように記しています。
意識は確かにやる気を振起(しんき)する。しかしそれは短期的なもの、つまり瞬発力だ。
これに対して、無意識は長期的な意欲、つまり持続力をコントロールする。
結局、勢いよくスタートはしたものの、無意識の協力を得られない限り、あなたの努力は三日坊主に終わってしまう。引用:自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術 P.63-67 より一部抜粋
意識は自らを鼓舞できる一方、無意識は”自分を守る”原始的な機能ですので、励ますことはできません。何か目標を決めて、自分を変えていくとき大事なことは、きちんと「無意識を味方につける」目標設定であると言えます。
目標の7〜3バランス
では、無意識を味方につける目標設定は、どうやったら良いか?それが「目標の7〜3バランス」です。
なりたい自分を10とし、現在の自分を0としたら、具体的行動を、7から3の間にイメージするのが7〜3バランス目標設定法だ。
いわゆる「70点でOKとする」という完璧主義修正法と同じように思えるかもしれないが、少し違う。
「70点でOK」は、80点でも、90点でもOKだが、7〜3バランス法では、80点、90点を出しては「いけない」のだ。
引用:自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術 P.63-67 より一部抜粋
ポイントは、80点、90点はNGなこと。
80点でも、90点は、理想の自分には近いものの、現在の自分からは、かけ離れています。意識の方が「よし!やれた!」と思っていても、無意識の自分が「待てよ、これはオーバーペース、このままじゃ危ないかも」とリスクを感じれば、三日坊主のブレーキがかかってしまうそうです。
ちなみに、
では、逆に20点ならどうか。
これでは「変わった感じがしない」という事で、意識が満足しない。
引用:自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術 P.63-67 より一部抜粋
という事で、低すぎても「意識」の方で不満が溜まるので、あまり良くないそうです。
「7〜3バランス」を意識する大事なポイントは、目標を確実にクリアしていくことではなく、自己評価を向上させていくこと。
「頑張っても頑張っても〜」な状況の人は、「意識」が褒める事を苦手としていて、厳しい評価をしがちな人です。そのため、基準を作り、「意識」が成果を正しく認められるようにしていきます。
ケーススタディー 自己評価を上げる目標設定
実際に「7〜3バランス」を意識して、自己評価を上げる目標設定をしてみます。
例えば、「ダイエットのために週の平日はランニングをしよう」と目標を立てたとします。この目標に「7〜3バランス」を適応させ、達成段階を具体化させるとこんな感じになります。
- 現在の自分・・・ ランニングしない
- 30点・・・ 週の平日1日はランニングした
- 50点・・・ 週の平日2日はランニングした
- 70点・・・ 週の平日3日はランニングした
- 理想・・・ 週の平日は毎日ランニングをした
例えば、最初の平日2日ランニングをしたとしましょう。
これは50点でOKです。
「7〜3バランス」としては合格ラインかつ1段階レベルの高い達成度となります。
50点ならば、
意識が
「まぁ2日でも走ったなら合格点だから許すか」
と思えるし、
無意識が
「疲れたけど、辛すぎないから、まぁいいか」
と思うラインです。
こういう目標設定だと自己否定にならず、疲労もしにくく、良い成果を上げていけます。
ちなみに「7〜3バランス」の段階を設定しないと、平日2日ランニングしたのは目標未達成。
意識が「未達成なら0点、ダメ!」と思うので、「頑張りが足りない」と自己否定感が。
精神的に得るものが何もなく自己否定感が強まるだけなので、無意識が「疲れることはやめようよ」メッセージを出すと、続けようと思っても続かなくなります。
振り返りも、いいこと3つ・悪いこと1つくらいがいい
これは私が何かを運営するチームを持った時に振り返りとして試している方法です。
プロジェクトなどが終わった後、次へ向けて振り返りをするとき、様々な意見が出てくるのですが、あえて反省の個数を指定します。
- 良かったこと・・・3つあげる
- 悪かったこと・・・1つあげる
- たくさん出したい場合は、良7:3悪の比率にする
これは「7〜3バランス」を意識した取り組みです。
「良かったこと = 自分たちの成果・自信を感じ、次へのモチベーションを高める要素」
「悪かったこと = 自分たちの課題で、解決すべく力を注ぐ要素」
良かったこと、悪かったことに、それぞれ「チームへの機能」を割り振っています。
良い3つと悪い1つのバランスが7〜3になっているのがミソ。
きちんと良いこと・悪いことを、自分たちで味わい、受け取る余裕ができます。効果的ですよ。
真面目で能力の高いチームほど、疲弊しやすい
「7〜3バランス」を試す前は、良かったこと、悪かったこと、特に個数を決めずに振り返りをやっていました。
すると、どうしても「悪いこと」がたくさん出てくる現象がおきました。
真面目で、能力の高いチームほど、特にこの傾向が強く、大量の「課題」を持ち越して、いつもそれを解決しきれないで消耗していく事態が起こります。チームの疲弊です。
私たち(特に日本人気質の強い人)は、ついつい、良かったことを素直に喜べず、物事の悪い方を「どうにかしよう」と注視してしまう癖があるようです。
「良かったこと」は、過ぎたことでも、甘えの要因でもなありません。
自己評価を上げ、自信とともにパフォーマンスを上げていく重要な要素です。
「良かったこと」を軽視しがちな人こそ、意識的に「7〜3バランス」を取り入れる必要があるのかもしれません。
この記事は、みなみのひげが参考図書を読んでまとめた情報や、考えついた意見を記載しております。みなみのひげはメンタルヘルスの専門家ではありませんので、実際に精神的な違和感・疲労をケアしたい場合は、こちらの情報に偏らず専門家へ受診を行ってください
今回の参考図書
疲弊しないでパフォーマンスを上げていくことを学ぶのに、非常に役立った一冊です。全体を通して実践できる内容が多いので、ぜひ、読んでみてください。