ワーケーションを本気で考えてみる。見えてきた4つの可能性
「ワーケーション」という言葉を見つけました。
新しい言葉なので、まだ懐疑的な目でみられてしまう部分も多いですが、きちんと考えるとユニークな可能性があるものなので、今後いろいろなところで試みをしてみたいなーと考えています。
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ワーケーションとは?
ワーケーションとは、「ワーク」と「バケーション」を混ぜた造語です。
現在、米国で増えてきている働き方のひとつ。
仕事をしながらも場所はリゾートなどに行き、バケーションをとりながら働くといったものだそう。
WSJ(ウォールストリートジャーナル)にワーケーションの記事が出ていました。
米国では労働者の休暇日数がとても少ない状況。
休日でも電話やメールで仕事の状況をチェックをする人が多いのだとか。
日本人は働きすぎ、なんていうのはもう古いのかもしれません。
日米そろってみんな働きまくっているんですね笑
そんな休暇日数が少ない労働者が、上司に対して「ワーケーション」を望む場面が増えているようです。
端的にいうとどうせ休日でも働いちゃうんだから、そのままバケーションとして楽しませてくれといった発想ですね。
ワーケーションの魅力
さて、そんなバケーションと仕事が混ざった「ワーケーション」の魅力。
どんなものなのでしょうか、考えてみました。
休暇がとれる!
当たり前ですけれど、休暇がとれます。
仕事が入っていてスケジュールが埋まっていても、バケーション先からコミュニケーションをとったり、現地で仕事をすれば、マウイ島にでもセブ島にでも行けます。
リフレッシュスポットが近い
仕事が終われば、すぐにバケーションスポットでリフレッシュをすることができます。
仕事が終わった後に、すぐにビーチを散歩してもいいし、森林浴をしてもいいのです。
家族と一緒に向かっているならば、仕事終わりにゆっくりと家族で過ごすこともできます。
仕事として休みをとれる
仕事と休みで気持ちを切り変えられない、なんてこともなくなります。
休日に仕事が気になって、うまく休めず悩んでいる人にはとても良い選択肢かもしれません。
限られた休みで、結局、仕事のことを考えて家に閉じこもってしまうくらいならば、仕事をするつもりで休暇をとって出かけるほうが、心も前向きで効果的な休みのとりかたといえそうです。
一方で懸念も多い..
仕事と休みを統合するわけですから、もちろん懸念もたくさんあるようです。
休みなの?仕事なの?
休みか仕事かはっきりしない。
どっちつかずになるのではないか。
そんな懸念がまず浮かびます。
雇用する側の人としては
「仕事の時間に社員がバカンス地に行ったらサボってしまうのでは?」、
雇用される側の人としては
「自分でお金を払ってバカンスするのに仕事するなんて損では?」
などといった不安がよぎってしまいます。
バケーションを楽しめないのでは?
WSJのワーケーションの記事では、米国でワーケーションを実際におこなっているかたの様子にも触れられています。
そこには、正直な感想として「純粋なバケーションのような感覚にはならない」といった旨の記述があります。
バケーションに仕事が入ってきているのですから、常に頭のどこかに仕事がチラつくことになります。
完全なリフレッシュをすることをワーケーションに求めるのは難しいようです。
物理的にムリがある
また、ワーケーションは場所にしばられる仕事では実践が難しいです。
「あなたがこの場所にいないと業務が成り立たない」
この言葉が当てはまる仕事の場合は、リゾートに行ってしまわれては職務の遂行ができません。
おのずと、ワーケーションなんてものとは無縁にならざるを得ません。
考えられる4つの可能性
懸念や限界はあるものの、私はワーケーションにはユニークな可能性があると考えています。いくつかの可能性について書いてみたいと思います。
1、オフィス仕事の捉えなおし
「オフィスじゃないと絶対できない仕事」
この業務分類が明確に整理できている企業は少ないと思います。
ワーケーションを導入することによって、オフィスに縛られる業務と、そうでない業務の線引きができます。
在宅勤務の導入や、ワークライフバランス充実に向けて、ワーケーションを業務整理の実験場として利用する考え方です。心理状況的にもオフィスにいるときとは違ったパフォーマンスとなるので、差が見てとりやすいともいえます。
2、ハーフサバティカル
サバティカルは原則的には「使途に制限のない長期の休暇」という意味です。
サバティカルは、その対象を長期勤続者に限定しますが、勤続が短くても日常の職務の中で重要なテーマを見つけ、一定期間、研究や勉強、自身の捉え直しをしっかりと行いたいタイミングを迎える人は存在します。
ワーケーションを用いることで、長期間といきませんが、日常の業務リズムから解放されて自分本位の活動をすることができます。
※「ハーフサバティカル」は説明のためにつくった造語です。
3、リッチサードプレイス
スターバックスが「サードプレイス」の概念のもと、サービスを発展させてきたのは有名な話です。
サードプレイスは、「日常(第一の場所)」と「職場(第二の場所)」の間にある第三の場所。
人々が気負いなく交流し、創造的になれるコミュニティスポットのことを言います。
ワーケーションを行い、業務をしながら定期的にバケーション先に足を運べば、地域のコミュニティと関係ができる可能性が高いです。
それはまさに、リッチなサードプレイス。半年、1年と、長期的な視点で、バケーションエリアをサードプレイスにすることとなります。
※「リッチサードプレイス」は説明のためにつくった造語です。
4、ショートノマド
ずーっと旅をし続けるのは、一部の人だけでいいのかもしれません。
しかし、ワーケーションを活用して一定期間ノマド的に動く、つまり「ショートノマド」は、多くの人に広がっていくべきでしょう。
場所を変えて働くことで誰もが「取材」をすることができるからです。
取材というと、専門家がインタビューや撮影などを行うイメージですが、社会のサービスが細やかになってきた現在、専門家でない個々人の「観察」による取材こそが重要といえます。その場所にいることでふと得た気づきが思わぬ発展につながる可能性を秘めています。
取材で手に入れた素材をもとに、複数人がコミュニケーションする。そのなかで新しいものが生まれるのが今のビジネスのあり方です。
取材は「出張」でももちろん機能しますが、外出に会社意図がいらないワーケーションなら、好きな場所へ向かい、自然と個人レベルの取材が実施できます。
※「ショートノマド」は説明のためにつくった造語です。
生き方のチューニングができるようになる
4つの可能性はあくまで仮説です。
しかし、ワーケーションへの期待が高まるものでもあります。
考えてみると、ワーケーションは、「生き方のチューニング」のよい機会です。
働くと休む、人生において重要なウェイトをしめる要素が混同されるのがワーケーション。今までの「働く=生産」「休む=非生産」といった価値観をもとにすれば、当然、混乱が起きて懐疑的にならざるを得ません。
一方で、仕事と休みの境界を曖昧にすることによって「休み期間中に自然と得た知見」や、「休みの時間に進んだタスク」など、今までの生産活動から漏れてしまっていた働きに目を向けるきっかけにもなります。
雇用されるプレイヤーからすれば、
「仕事は苦しく我慢するものでアンコントローラブルなもの」
といった感覚から、
「仕事は生産性や貢献こそ大事で、気持ちよくやっていいもの」
と、ポジティブな感覚へ動機付けすることも可能だと考えられます。
通り一遍に拒否するのではなく、柔軟に働くと休むを再定義する。
これを試みれば、自分自身に適切な生き方のバランスをとったり、新たな価値観を得たりするきっかけになるのではないでしょうか。
私はせっかく沖縄に住んでいるので、今しばらく試行錯誤していこうと考えています。