「〜しなくては」は、気持ちの余裕を奪う原因
「死にたまふ母」で有名な歌人 斎藤茂吉の息子さんは、精神科医で有名な人です。
斎藤茂太(さいとう しげた)さん(1916年3月21日 – 2006年11月20日)がその人。
「モタさん」の愛称で親しまれた名医でメンタルヘルスに関して、非常に有益な本が多いので、読んだものからご紹介します。
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「〜しなくては」の気持ちが、自分を窮屈にする
心の掃除」の上手い人下手な人を読んでいて、もっとも自分のことを反省した一節です。
「〜しなきゃ」
この言葉を、本当、今までの人生で何度繰り返してきたことか。
起きなきゃ
準備しなきゃ
勉強しなきゃ
仕事しなきゃ
頑張らなきゃ
我慢しなきゃ
帰らなきゃ
掃除しなきゃ
眠らなきゃ
この言葉、日常にたくさ〜〜〜〜〜〜ん、溢れています。
「〜しなくては」は、怠惰な自分をすぐにシャキッとさせる即席の心の鞭(ムチ)。
便利な一方、多用すると、いつの間にか自分の気持ちの余裕がなくなっていく言葉でもあります。
どうでしょうか、あなたも、ついつい何にでも、そう考えていませんか?
書籍には、とても努力家なのに、周りから煙たがられてしまう人、頑張っているのに不満ばかり溜め込んでしまう人について、以下のような特徴を挙げています。
- 「〜しなくてはいけない」という強迫観念。
- 「〜しなきゃダメだ」というあまりにも生真面目な正義感。
- 「なぜ、私が思うように、みんなもやらないんだ」という価値観の狭さ。
引用:心の掃除」の上手い人下手な人 P.87 より
彼らは元来、「〜しなくては」という強迫観念で動いているため、急ごうとする。神経質にもなる。
だから気持ちに「遊び」「ゆとり」がない。ちょっとしたブレイクを入れたらうまくいく、効率が良くなることがわかっていても、休まない。休む勇気がない。
そうして、知らず知らずのうちに自分を追い込んでいく。引用:心の掃除」の上手い人下手な人 P.87 より
「自分、頑張れているな」と思えているとき、「自分、きちんとできているな」と思えているとき、それはそれで良いことですが、その裏返しで「〜しなきゃ」と唱える回数が多くないか、よく振り返ってみてください。
自分が本当に頑張る・きちんとした人格者になったのか、それとも自らが自らに小さなムチを入れ続けているから、シャキッとしているだけなのか、同じ頑張れている状態でも精神的には大きく違います。
もし、後者であれば、あなたは頑張るために自分自身を小さく攻撃し続けている可能性があります。
ムチで叩かれ続けた心は、疲れつづけ、弱ってくると、他者に攻撃的になったり、視野が狭くなったりします。
そうなる前に「〜しなくては」の回数を減らす工夫をして、心理的な疲労を減らしていきましょう。
「〜しなくては」よりも「〜したい」で頑張ることを増やす
「〜しなくては」を減らすための対処として、書籍ではこのように書いています。
がんばっているうちに情熱がわいてきて、日々楽しくなるようなことにエネルギーを使い、時間を使っていく。これが人生を楽しむコツだ。
がんばり過ぎかな? そう感じたときは、こう考えよう。
「私にはほかにがんばりたいことはないのか?」と。
引用:心の掃除」の上手い人下手な人 P.91 より
同じエネルギーを使うなら、「〜したい」というものへ意識を向けると良いそうです。
「〜したい」は同じ行動を起こしても、心にポジティブなもの。エネルギーを使うことが楽しく、自分の心を豊かにしてくれたり、回復させたりしてくれます。
同じように頑張るのなら、絶対に「〜したい」で動いた方が健康的だしお得ですよね。
色々とやることがたくさんあるときは、工夫して自分が素直にエネルギーを発揮したがるように物ごとを差し向けたり、取り組みを取捨選択していくのが大事なのです。
どんなに忙しくて「〜しなきゃ」ばかりだとしても、冷静に振り返れば、「〜したい」で動いていることもたくさんあるはずです。
「お腹が空いたからご飯食べたい」
「集中切れたから5分休憩したい」
「企画、面白そうだから刺激的な方にしたい」
別に趣味や遊びじゃなくても、目立たない小さなところでも、「〜したい」と思い、それを実行しようとする自分がいます。
きちんと自分の「〜したい」を感知してあげて、できるだけ実行させてあげる。
そういった積み重ねが、窮屈になりがちな自分の心を解放し、自由にしていくのだと言えます。
寝ることすら「〜しなきゃ」な人生
私は、大概のことを「〜しなくては」で動いてきました。
高校時代、バスケを頑張ったり、大学で就活頑張ったり、社会人でデザイナー頑張ったり、趣味の活動も、沖縄移住でさえも、「〜しなくては」で自分を鼓舞して動いてきました。
「やることの多い現代」みたいな時代背景もあるとは思いますが、眠るときすら「寝なきゃ」と考えて休養をとっていますからね。
これはちょっとやりすぎだよなぁ、と反省しました。
社会で生活していれば、やらなきゃいけないことが、たくさん出てきます。
「〜したい」じゃないからやらなーい…なんて、悠長なこと言っている場合じゃないことばかりです。
だから極端に考えを変えるのではなく、「〜したい」で頑張ることを7割に増やして、「〜しなきゃ」で頑張ることを3割くらいに減らす、これができたら理想だなぁ、とか。
難しいなら、「今日は1つは”〜したい”と思ったことを素直にやってみよう」とか。
意識的に配分をちょっとずつ変えていったら良いんじゃないかな、と考えています。
今回の参考図書
書いてあることは至極シンプルなことですが、気になった節を自分の経験と照らし合わせながら2、3回読むと、非常に役立つ気づきを得られたりします。